高等学校体育授業
松戸市立
松戸高等学校
長距離走の授業は多くの生徒が苦手としています。
今回松戸市立松戸高等学校では、スポーツウォッチを活用することで「自身のパフォーマンスを客観的に把握する」、「自身に最適な運動量や運動強度を考察する」ことが出来る個別最適な学び、探究的な学びを実践することに挑戦しました。
ICT を効果的に活用した長距離走の授業実践も少しずつ行われており 、「 新たな 長距離走の授業を創りあげていく ことは急務である。」と、瀬和真一郎 教諭は研究論文の中で言及しています。
1. Polar を活用いただいているチーム名を教えてください。
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松戸市立松戸高等学校の1年生(112名)。
陸上競技(長距離走)の授業で活用。
2. どのようにPolar のデバイス・サービスをご活用されているか教えてください。
授業ではPolarのスポーツウォッチPolar Vantage Mを活用しました。
生徒が着用することで、各自の走行距離、心拍数(最大・平均)、使用エネルギー(炭水化物・タンパク質・脂肪)、ペース(平均・最大)、スピードゾーン等を計測し、単元の終了後には授業アンケートを実施しました。
3. Polar のデバイス・サービスを導入して頂いたきっかけ・理由を教えてください。
5年程前から長距離走の単元では、「前半は長距離走に関する各練習法を解説・体験」し、「単元の後半は生徒自身で練習法を検討し・実践する」という探求的な内容を授業に取り入れてきました。
一方で、生徒のパフォーマンスを確認できる客観的なデータが、タイムや自身で計測した心拍数のみで、運動量や運動強度などを深く考察し、練習を計画するまでには至りませんでした。
近年ICTを効果的に活用した長距離走の授業実践も少しずつ行われており、新たな長距離走の授業を創り上げていくことが急務だと感じ、スポーツウォッチを取り入れた授業実践に至りました。
4. Polar のデバイス・サービスを活用しての感想と感じている効果・利点を教えてください。
スポーツウォッチの活用によって、走ることに集中できたり、他人との競争よりも自身の持久力の改善に焦点を当てることができている、自身の記録を向上させるために最大パフォーマンスを発揮しようとすることにも役立っていました。
また、 従来の長距離走の授業 では、教員が「頑張れ!」、「あと○○分!(もしくはあと○○m!)」、「腕をもっと振って!」といった程度の声かけ(フィードバック)しかできませんでしたが、スポーツウォッチの活用によって、指示を出さなくても生徒自身がの現状の体力レベルを分析しながら、自身の課題を立て改善しようとしたり、それぞれの体調に合わせた頑張り方を実践でき、「個別最適な学び」につなげることができました。
5. 実際に使用されている方(生徒)からの評判はいかがですか?
ほとんどの生徒がスポーツウォッチの活用は長距離走の授業に役立つと感じています。中でも授業に役立ったデータは、アンケート結果から、
1「心拍数(最大・平均)」
2「走行距離」
3「ペース(最大・平均)」
となっており、「心拍数と走行距離を見れば、どれ位頑張ったかがわかる」、「同じ距離で同じ時間走った際に、心拍数が減少していたら前回より走れていることがわかる」、「ペースの平均や最大がわかるのでペースを崩さずに走ることができる」、また「消費カロリーが明確になることで次回もこれだけ消費できるから頑張ろうという活力になった」、「使用エネルギーがわかると達成感があって気持ちがよかった」といった声もありました。
これらの回答からも、生徒達はスポーツウォッチの様々な機能を理解しながら活用し、長距離走の学習に役立てていたことができていたことがわかります。
6. 今後更にどのように活用していきたいと考えていますか?
個人がそれぞれの状況に応じて学びを深める「個別最適な学び」に対してはアプローチできましたが、「協働的な学び・探究的な学び」への課題が残りました。特に時間の確保が必要で、個人のデータをさらに分析しながら自分たちにとって最適な練習を考えたり、実践した内容と測定したデータを照らし合わせながら振り返るための時間をもう少し確保する必要性があると感じました。
また、長距離走を題材に数学科や理科の教員と教科横断型授業を行えば、運動・スポーツに対する多角的な見方・考え方も育むことができると思うので、今後挑戦してみたいと考えています。
またPolar GoFitのアプリも使用できましたが、今年の授業ではうまく活用することができなかったため、次の長距離走の授業を行う際には、ペアを組んで走る側と声をかける側とに分かれて行う授業の実践も検討したいと思っています。
そうすることで自信と他者との違いを客観的に理解できたり、相手の目標を一緒になって考えたりなど、より協働的な学び、探究的な学びが促進できるのではと考えています。