関西大学初等部は、これからの時代に求められている資質・能力である「21世紀型スキル」を活用できる子どもたちの育成をめざし、「STEAM化教育」に着目。2021年度・2022年度「未来の教室」実証事業(経済産業省)に採択され、STEAM化教育の先進的な実践に取り組んでいます。(STEAMScienceTechnologyEngineeringArt/Liberal ArtsMathematics

1. Polarをご活用いただいているのは?

  •     関西大学初等部 1~6年生。
    体育の授業(持久走)で活用しました。

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2. どのようにPolar のデバイス・サービスをご活用されていますか?

 児童一人ひとりの運動時の心拍数の計測ができるPolar Pacerと児童の心拍数を同時に可視化、記録できるPolar Gofitを活用しました。
「小学校学習指導要領解説 体育編(2017)」では、体育の見方・考え方を『生涯にわたる豊かなスポーツライフを実現する観点を踏まえ、「運動やスポーツを、その価値や特性に着目して、楽しさや喜びとともに体力の向上に果たす役割の視点から捉え、自己の適性等に応じた『する・みる・支える・知る』の多様な関わり方と関連付けること」』と示しています。つまり、体育の授業は下記の点が必要だと考えました。

・子どもたちが身体を動かす楽しみや喜びを感じながら、児童一人ひとりに合った体力向上をめざす取り組み。
・特に「考える」ことへの醸成は運動能力とは関連せず、たとえ運動に苦手意識があったとしても、「どのような走り方(ペース)が自分に合っているか」を考えることができる。
・持久走の授業では「時間走」を採用。他者と競争する要素を排除し、自己のペースを考えることで、モチベーションを向上させるねらい。

これらを実現するため、心拍数を計測できるスポーツウォッチPolar Pacerと、個々の児童の身体的運動負荷を心拍数により可視化することができるPolar Gofitを活用しました。

 2年生の授業では、主観的運動強度(RPE)を児童に提示し、目標設定のためのツールの1つとして活用しました。「ボルグ・スケール」(図1)から、疲労度について児童が意識できるようにし、走ったときの自分の感覚と照らし合わせながら目標設定を促しました(等級欄の数値を10倍した数がそのときの心拍数と言われている)。また、Polarの心拍ゾーン設定(最大心拍数に対する心拍強度を5段階での分類)に合わせて色分けをし、関連づけやすくしました。

さらに、4年生ではPolar Pacerの機能を活用し、ラップタイムを計り、実際に一定のペースを保つことができているかを明確化しました。

 

3. Polar のデバイス・サービスを導入して頂いたきっかけ・理由を教えてください。

 導入のきっかけは、2022年度パナソニック教育財団の実践研究助成の助成先であった、新潟県の雫の会(垂沼小学校)の実践事例「体育授業における個別最適な学びの実現」でPolarの製品が使用されていることを知り、検討に至りました。

ボルグスケール
ラップタイム 写真
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4. Polar のデバイス・サービスを活用しての感想と感じている効果・利点を教えてください。

 児童の記載した学習カードからも、児童の考えの変容を見て取ることできました。最初の授業では「心臓が痛くなった」「とてもしんどかった」「のどがカラカラになった」「がんばったから1番になれた」など、自分に合った走り方を捉えることができていない児童が多くみられましたが、第6時の授業では、「ずっと同じペースで走るとしんどいのも少し減って緑を保つことができた」「赤で走ることはとてもきついことが分かった。今僕に合っている色は黄色だとわかった」など、心拍数を色で表し、ペースの保ち方などを具体的に記載できるようになりました。児童一人ひとりが自分の走り方と向き合い、考えて表現していることが学習カードの内容からも伝わってきました。

また、Polar GofitやPolar Flowのデータを活用して、考えの表現の具体性が高まり、次の活動へとつなげることができるようになりました。こうした学びの蓄積が児童のモチベーションを向上させることにつながったと考えています。

5. 実際に使用されている方(生徒)からの評判はいかがですか?

 2年生で行った授業前後のアンケート結果では、授業前は持久走やマラソンに対して否定的な意見も多く、「疲れる」や「しんどい」などが挙げられました。また「走ることが遅いので嫌です」など、走る速さが理由で否定的な意見につながっている児童も数名いました。

しかし、授業の実施後には、肯定的な意見が増え、「勉強になるし、体が鍛えられる」「記録をみるのが楽しみ」「心拍数で決まるから去年より楽しかった」「長い距離を走ることで体力がつくし、心拍数を見られるから楽しい」などがあり、授業を通して児童の持久走に対する印象が良いものに変化したことが明らかになりました。

グラフ
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6. 今後更にどのように活用していきたいと考えていますか?

 今後は持久走だけでなく、様々なスポーツで心拍数を活用して、児童の「考える」力を伸ばしていけるような授業を実践していきたいと考えています。